働き方エバンジェリスト・田中健士郎さんに学ぶ! 楽しく働き続ける秘訣とは?

フリーランスや副業ワーカーにとって、「働き方」は永遠の課題とも言えるのではないでしょうか。

「モチベーションを保つ方法が見つからない」
「今の仕事にいまいち魅力を感じられない」
「自分はこのままでいいのだろうか……?」

フリーランス3年目の筆者も、こうした悩みが絶えず付きまとっています。

そんな中、働き方エバンジェリストとして活躍中の田中健士郎さんに、これまでの経歴を聞く機会がありました。

そのお話の中で「楽しく働き続ける秘訣」が垣間見えたのです。

田中さんはこれまで、どのようにして仕事を勝ち取ってきたのか?
何を基準に仕事を選んできたのか?

そこには意外な考え方がありました。

「田中さんってどんな経歴を持っているんだろう?」と気になる方や、現状の働き方に不安を抱えているフリーランスや副業ワーカーの方は、ぜひご覧ください。

(撮影:夏川さほ)

田中健士郎さん
クラウドワークス・ワーカーエクスペリエンスチームのマネジャーとして働く。オンラインコミュニティー「ライターゼミ」の主宰も務めつつ、パラレルワーカーとして組織開発のコンサルティングを行うなど、さまざまな働き方を自らが体験し、提唱している。

田中さんは「複業ワーカー」で2児のパパ! 時間の捻出が課題

(写真提供:田中さん)

――今日はよろしくお願いします! さっそくですが、田中さんは普段どんなお仕事をされているのでしょうか?

田中さん
本業はクラウドワークスで働く会社員です。社内では「ワーカーエクスペリエンスグループ」というチームのマネジャーを務めています。

ワーカーエクスペリエンスグループのコンセプトは、「クラウドワークスに関わるワーカーさんに100%向き合うこと」です。

約500万人(※)のワーカーさんたちに向き合い続けるために、立ち上げた組織になります。

(※)2023年6月現在のクラウドワークス会員数

――ワーカーエクスペリエンスグループの具体的な事業内容について教えてください。

田中さん
主に2つの教育事業に取り組んでいます。

1つめは「みんなのカレッジ」です。

クラウドワークスに足を踏み入れてくれた人の中には、初めてフリーランスとして活動される人や特別なスキルがない人も多くいらっしゃいます。

そうなるとなかなか仕事につながらずに、せっかく見つけた新しい働き方を諦めてしまう人が多いという現実がありました。

この現実をなんとか変えていきたいという想いで立ち上げたのが「みんなのカレッジ(旧:クラウドカレッジ)」です。

「初心者でもこのステップに一緒に乗ってくれれば稼げる道がある」というのを、クラウドワークス公式として提示しています。

2つめは地方創生事業です。

地方にいながらオンラインで働きたい人や、事情があって外で働くのが難しい人に対して、在宅やリモートで働く機会を提供するために、行政とタッグを組んで無料でセミナーを開催しています。

――クラウドワークスだけでなく、他にもお仕事をされているとか?

田中さん
そうなんです。いまは組織開発のコンサルティングを行っている「reborn」という会社で、企業のサポートをしています。

直近では、農業法人「アグレス」で新規事業を立ち上げて、社長のコーチングをしたり、会社のコーポレートブランディングを考えたりといった活動をしています。

あとは最近、スナックのママっていう小さな副業も月1で始めました。

田中さんがママを務める「スナックみらぼ

スナックみらぼの様子(写真提供:田中さん)

それから、音声メディアもかなり力を入れてやっていて。

おかげさまで最近はゲスト回が増えてきたので、ゲストとの日程調整をしたうえで収録することが多くなってきましたね。

田中さんがパーソナリティを務めるPodcast「働き方ラジオ

――田中さんって2児のパパですよね? すごくお忙しそうなイメージなのですが、どのようなタイムスケジュールで仕事をされていますか?

田中さん
時間をどう捻出するかっていうのは常に課題ですね。とりあえず5時には起きて、2時間ほどrebornの仕事に取り組むことが多いです。日中はクラウドワークスの仕事があるので。

子どもはまだ3歳と5歳で、育児とやりくりしながら仕事をしているので大変ではあります。でも基本は自分のやりたいことベースで挑戦しているので、苦ではないです。

――たしかに、田中さんの働き方は忙しそうだけどすごく楽しそうに見えます! クラウドワークスには毎日出社されているんですか?

田中さん
クラウドワークスは週1回出社していて、それ以外はリモートです。

それから「週4社員」という働き方を会社に提案してそれを採用してもらったので、週1回は休みが取れています。空いた1日を自分のやりたいことや副業の時間にあてて、バランスをとっている感じですね。

実際、週5のフルタイムでパラレルワークを続けることに限界を感じていました。でもいろんな挑戦が本業の成果につながることもありますよね。

そこで「自分が新たな働き方のロールモデルになります」と会社に提案したんです。受け入れてくれた会社には感謝しています。

前職は営業!? 自己分析の結果勝ち取った内定5社

――田中さん、前職はなにをされていたんですか?

田中さん
半導体の営業をしていました。

――え!? 営業とは少々意外です。

田中さん
トップセールスだったこともあるんですよ!

でも僕は営業力があったわけではなく、調整力を生かして仕事をしていたんですよね。

――営業は、売る力ではなく、調整力が大切ってことですか?

田中さん
半導体などの電子デバイスの営業で活躍するのは「社内を動かす人」なんですよ。

たとえばお客さんが突然、「この製品の仕様を変えてほしい。来月の試作日までにサンプルを作ってくれ」と言ったとするじゃないですか。

そうなると工場の生産管理者や設計、資材調達といったいろんな部署と交渉しながら、社内の100人ぐらいを動かしてお客さんに提案する必要があるんですよね。

そのためには、「田中くんの言うことだったらすぐに動くよ」と言ってくれる人をいかに社内に作るかっていうのが重要で。僕はそういうのが得意だったんです。

あとはこちらからお客さんに向けて提案することもあるので、社内のメンバーたちがいま何をしたいのか?どういったことにモチベーションを持っているのか?というのも、1人ひとりと対話して知ることを心がけていました。

そうすれば「技術者はこんなことを試してみたいと言っているので、一緒にトライしてもらえませんか?」といった具合に、お客さんに提案できるんです。

「自分がやりたいから」という理由ではなくて、社内のメンバーが実現したいことをお客さんに提案するっていう、いわゆる媒介者的な立ち位置をやっていましたね。

営業職時代の田中さん(写真提供:田中さん)

――なんだか営業の印象が変わった気がします。でも、最初からそうなることが分かって入社したわけではないですよね?「営業」ってジャンルに応募しているわけですし……。

田中さん
いや、僕は最初からそのポジションを狙って入ったというか。

学生のころ就職活動にハマっていて、自己分析を深めていたんですよね。もはや趣味の領域でした(笑)

それで自分の特性に合った会社を早めに見つけて、内定5社をとって、早めに就活を終わらせた経験があります。

具体的には、自分の特性が調整力であることを理解したうえで、それを生かすためにどの職種に行けばいいのかを分析しました。

そしたら、調整力が必要な職種は製造業だなというのが見えてきたんです。たとえば、船とか、ビルとか、半導体の製造とか……。

1つのモノを作るのにたくさんの人が関わっているので、調整できる人がいないと成り立たないんですよね。僕はそこができる自信があったので、最初から「製造業の営業」をやりたいと思ってました。

――そこまで分析できるのはすごいです……! フリーランスの働き方にも通ずるものがありそうですね。勉強になります。

クラウドワークスとの運命の出会い! 多様な働き方にワクワクしていた時代

クラウドワークス入社初期(写真提供:田中さん)

――クラウドワークスに入社したきっかけはなんですか?

田中さん
転職活動をしていく中で、当時「21世紀の新しいワークスタイルをつくる」というビジョンを掲げたクラウドワークスに惹かれて応募したのが入社のきっかけですね。

僕は前職でいろんな国に行って、さまざまな働き方に触れてきたので、当時から「働き方」が自分のテーマでした。国や人によって働き方に対する考え方がまったく違うんですよね。

たとえばシリコンバレーでは、当時からリモートワークが当たり前のように普及していましたし、ヨーロッパだと16時には仕事を切り上げて、家族との時間を作るのが重要っていう考え方なんですよ。

日本ではみんなスーツを着て同じような時間に出勤し、わざわざ満員電車に乗って仕事に行く。そんな働き方が当たり前じゃないですか。でも、いずれは日本の働き方も変わるんだろうなと感じていて。

その変化の最前線に行ってみたいなと考えて転職活動をしていたんです。

――なるほど。転職活動をする中でクラウドワークスに出会ったんですね。ちなみにどんな基準で仕事を探していたのですか?

田中さん
「ワクワク」と「できる」の両軸で転職活動をしていました。

めっちゃワクワクするのは「働き方」。できるのは「調整能力」。その両軸で新しい職場を探していたんですけど、最終的に「ワクワク」をとったんですよね。

もともと個人的に「これから地方がアツくなる」と思っていたこと、働き方についてすごく興味を持っていたことから、プライベートで地方に行っていたんです。
今でいうノマドワーカーのような、場所や時間にとらわれず自由に働く人たちのことを追っかけていました。

その中で「フリーランスが働くためのプラットフォーム」であるクラウドワークスに出会ったんです。初めてクラウドワークスを知ったときは「めっちゃおもしろそうな会社じゃん!」と思いましたね。

――まさに運命の出会いですね!「ワクワク」を仕事に変えていく、田中さんの行動力もすさまじいです。

田中さん
でもクラウドワークスには「ワクワク」だけで入ってしまって「できる」がない状態だったので、入社当初はものすごく苦労しましたよ。

僕が得意なのは100人を取りまとめる調整役だったのに、クラウドワークスに入社したら企画の設計から実行まで、すべて1人でやらないといけなかった。

「調整とかじゃなくて、あなたがやりたいことはなんなの?」と問われたり、「最後までやり切るプロダクトマネジメントが大事なんだ」と言われたりして、上司に怒られっぱなしでしたね。最初は人の手を借りられないつらさを味わいました。

それでも、地方創成事業で2,000人を超えるワーカーさんの育成をしたり、自分自身も副業を始めたり、社内でもリモートワークを率先してやってみたりして。働き方を極めるというのをひたすら続けていたら、誰よりも働き方について話せるようになりました。

――ワクワクの力で「できない」を「できる」に変えたんですね!

田中さん
そうですね。ワクワクしていたからこそ、いろんな人に興味を持って話を聞けましたし、自分自身の働き方も極められたと思っています。

人生において「働く」という選択肢があることは、すごく大切だと思うんです。フリーランスや在宅ワークという選択肢によって、働く可能性が切り開ける人がたくさんいる。

そう考えると、クラウドワークスが提供している働き方の奥深さにも気付けて、自分の中で使命感がわいてきました。

そしてライターゼミの発起人に! 知らずのうちにハマっていったコミュニティー運営

――ライターゼミはどのような経緯で立ち上げたコミュニティーですか?

田中さん
WEBライターコースの受講生から「継続的に仲間づくりができるような場が欲しい」という声があったので、「じゃあ僕がやりましょう」と社内で言ったのがきっかけで始まりました。

なにごとも「とりあえずやってみる」って大事だと思うので、あまり深く考えずに手を挙げたのですが、まさかこんなにハマるとは……。

――田中さん自身もライターゼミに積極的に参加されていて、メンバーの一人として交流を楽しまれていますよね。田中さんの最初の立ち位置は「コミュニティーの管理者」みたいなイメージだったんですか?

田中さん
いえ、「サービス提供者」という意識でしたね。

「ライターゼミ」っていう月3,000円(税抜)のサービスを、僕が提供しないといけないと思っていました。

WEBライターコースとは違って講義がないので、「サービスにどう価値を感じてもらうか?」が課題でした。

それで、WEBライターコース教材やライター検定の監修をしているグリーゼさんに講義をお願いしたり、特別講師としてクラウドワークスTOPプロの川並まどかさんに来ていただいたりしたのですが、1~2ヶ月ぐらいでマンネリ化してしまったみたいで。3ヶ月後にはメンバーがぽんぽんっと抜けてしまいました。

僕はその状況を目の当たりにして、すごく落ち込んでしまったんですよね。

メンバーが抜けてしまったことが悲しくて、悔しくて。そのとき初めて「発起人として、この場所をより良くしていきたいんだ」という自分の気持ちに気付いたんです。

そんなとき、何名かのメンバーから「1人で頑張りすぎてませんか?」と声を掛けてもらったのがきっかけで「コミュニティーってサービスとは違うのかも」という事実にも気付かされました。

それからは、コミュニティーの運営をメンバーに手伝ってもらったら、だんだんみんなが提案してくれるようになってきて。「周りを巻き込んで動くのが得意」っていう僕の特性にも合ってきたので、すごくやりやすくなりましたね。

ライターゼミはそんな感じで変化してきました。

ライターゼミオフ会の様子(写真提供:田中さん)

――なるほど。ライターゼミも最初から今のような居心地の良さがあったわけではなく、メンバーと協力していまの風土を築き上げてきたのですね。田中さんから見た現在のライターゼミの特徴を伺ってもいいですか?

田中さん
自分の好きなことに正直な人が多いですよね。これも最初からそのような風潮だったわけではなく、「まち」に発展していく過程で「自分の好きを伝える文化」が生まれていきました。みなさんSNSとか、コミュニティーの外でも発信していますけど、ライターゼミのSlackだとそれがより如実に表れているなと感じます。

もう1つだけ挙げるとすれば、テキストコミュニケーションが得意な人が多いので、Slackがとにかく盛り上がる点ですね。

他のコミュニティーだと「オンラインイベントは盛り上がるのに、Slackはすごく静か」という話をよく聞くので、これはかなり注目すべきライターゼミの特徴だと思います。

いまライターゼミには30以上のSlackチャンネルがありますが、コミュニケーションがずっと続いてますし、相手を傷つけるようなコメントを書く人はいないですよね。文字だけなのに気持ちのいいコミュニケーションがとれるって、すごい特徴だなと思いますよ。

――Slackのコミュニケーションは本当に活発ですよね! ライターゼミの「好きを伝える文化」は私も好きです! では、ライターゼミにどのような未来を描いていますか?

田中さん
ライターゼミという「まち」が、健全に、少しずつ発展していったらいいなと思います。ゆくゆくはメタバースとか、バーチャルなまちにみんなで住んでいるとか、もしかしたらリアルにライターゼミで島に住み始めたりして(笑)

でもそれぐらい奇跡を起こせそうなまちだなっていう感覚はありますし、リアルのまちづくりができたらと考えるとすごくワクワクしますね。

あとは、「奇跡のコミュニティー」として本を出したいと考えています。「まち」をコンセプトにしたコミュニティー運営は、なかなか珍しいと思うので。

少しずつ見出しを作っていますが、現状だと本にするのはまだまだ足りないので、もう少し奇跡を起こしていけたらいいなと思っています!

田中さんが思い描くビジョン 〜1人でも多くの人に情熱を持って働いてほしい〜

(写真撮影:夏川さほ)

――最後に、「働き方エバンジェリスト・田中健士郎」として思い描く今後のビジョンについて聞かせてください!

田中さん
解像度を上げていくと、「働くこと」は生きるうえでのひとつの手段であることがわかります。

そうしたときに、自分が心から思う「やりたい」「ありたい」といった、内発的な動機づけをもとに働くことが、人生をより豊かにすると考えています。

ワクワクや情熱を持って働く人を1人でも多く増やしたい。そういう世界をつくることに何か貢献できたらいいなという想いはありますね。

現状に行き詰まったときはどんなことでもいいので、まずは自分がワクワクすることを見つけてください!

まとめ:田中さんの働き方に詰まった「働く」のヒント

働き方エバンジェリスト・田中健士郎さんのお話から見えた、「働く」のヒント。キーワードは「ワクワク」でした。

自分の好きを極めれば、結果はおのずとついてくるはずだと語ってくれた田中さん。

成功の秘訣は「自分と向き合うこと」にあるのかもしれません。

「自分がワクワクすることってなんだろう?」
「自分の得意なことってなんだろう?」

そんなふうに、自分自身に問う時間を設けることが、人生を豊かにする働き方につながりそうです。

取材/執筆:夏川さほ
アイキャッチ写真提供:田中さん

投稿者プロフィール

夏川さほ
夏川さほ運営チーム 兼 ライターTips記事の執筆担当
フリーランスのWebライターで4人のママ。
◆主な保有資格
・Webライター検定2級&3級
・FP2級
◆得意ジャンル
・金融(とくに保険)
・子育て
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